今年のカモコレ「2024 蒲生麓、次の100年へ」メニューの1つ
「薩摩郷士の食養生」~当時の日常食を作って食べよう~
というお題を丸野さんにいただき、本日開催でした!
人々の生活を想像したり、調べたりして、自分なりに講座の内容を組み立てるのは、とても面白いです。
おそらく、「麓に暮らす郷士家族の食」とはということで以下のようなことをお話させていただきました。
「農耕士族」と呼ばれた麓郷士、質実剛健を旨とし、決して贅沢はしませんでした。
しかし、儀式の膳や節句の菓子作り、赤穂浪士討ち入りの日は「あわんなっと」を食すなど受け継いだ伝統を守っていました。
また、当時の食事は芋や雑穀、野菜などが質素なものが中心でしたが、現代の栄養学から見ても実に理にかなった一面もある食生活とも言えるでしょう。
例えば、冬のある一日の食卓(聞き書 鹿児島の食事 農山漁村文化協会より)
・朝…唐芋ご飯、みそしる(大根・白菜・里芋・豆腐・おからなど)、たくわん
・昼…からいもごはん、そばずい(そばじゅい)、たくわん
・小昼飯(こちゅうはん)…うどん(または焼きもち、ゆでたまご)
・夕…唐芋ご飯、煮しめ(干し大根、ニンジン、揚げ、こんにゃく、昆布、干しシイタケなど)、たくわん
そして、今回はその中より「そばずい」と「あわんなっと」をメインに献立を組み立ててみました。
もちろん、当時は「一汁一菜」が基本ですから、こんなに皿数は多くないと思いますが、当時の食材で今も手に入りやすいもので、「湯なます」「押し大豆の卵とじ」「大根の皮の酢の物」など作ってみました。
「そば」は脱穀して、粉にひき、そまげ、そば切り、そばずい(そばじゅい)などにします。そばの殻は枕に入れたものです。そばずい(そばじゅい)は、寒い日に体を温めてくれた日常食です。旬の野菜を具に、地域独自の「だし」を使用し、醤油味等で調味した汁に、うちたてのそばを下茹でせずに直接煮込むのが特徴です。少ないそば粉でも、多人数の食事に適し、冷めにくく、腹持ちがよいので重宝されました。
そして、「あわんなっと」は、義臣伝の輪読会のふるまいとして、よく登場します。12月14日は、赤穂浪士の討ち入りの日。明治の初めより、この日の晩に、地域の小学生から青年まで集まり、義臣伝の輪読会が行われるようになったそうです。夜7時より夜中まで行われる、そのあと「あわんなっと」がふるまわれたとのこと。素朴な風味ですが、黒糖のコクがよく合い、生姜を加えることで体が温まります。
丸野さん、スタッフの小山田さん、調理アシスタントしてくださった谷口さん、ご参加してくださった皆様、本当にありがとうございました!!