「かごしま食歳時記」のこと

3年前、南日本新聞に1年間掲載した「かごしま食歳時記」ですが、とてもきれいにスクラップしてくださっていた方に、昨日実物を拝見させていただきました。本当にありがとうございます!!

掲載以来、思いがけず、「スクラップしていますよ」とのお声がけをあちこちでいただき、皆様が丁寧に保存し、さらに索引を作ってくださり活用してくださっていらっしゃる方が多いこと、感激しております。

もし、スクラップしてくださっている方がいらっしゃいましたら、心ばかりのものなのですが、手書き(私が書いたものをコピーしたものですが)の表紙と、料理別、50音別の索引を差し上げておりますので、ご一報ください。

また、この1年間の掲載は、昨年「かごしま食歳時記 上下巻」として、燦燦舎様より出版させていただいておりますので、こちらもどうぞよろしくお願いいたします。

 

カモコレ「薩摩郷士の食養生」開催でした

今年のカモコレ「2024 蒲生麓、次の100年へ」メニューの1つ
「薩摩郷士食養生」~当時の日常食を作って食べよう~
というお題を丸野さんにいただき、本日開催でした!

人々の生活を想像したり、調べたりして、自分なりに講座の内容を組み立てるのは、とても面白いです。
おそらく、「麓に暮らす郷士家族の食」とはということで以下のようなことをお話させていただきました。

「農耕士族」と呼ばれた麓郷士、質実剛健を旨とし、決して贅沢はしませんでした。
しかし、儀式の膳や節句の菓子作り、赤穂浪士討ち入りの日は「あわんなっと」を食すなど受け継いだ伝統を守っていました。
また、当時の食事は芋や雑穀、野菜などが質素なものが中心でしたが、現代の栄養学から見ても実に理にかなった一面もある食生活とも言えるでしょう。
例えば、冬のある一日の食卓(聞き書 鹿児島の食事 農山漁村文化協会より)
・朝…唐芋ご飯、みそしる(大根・白菜・里芋・豆腐・おからなど)、たくわん
・昼…からいもごはん、そばずい(そばじゅい)、たくわん
・小昼飯(こちゅうはん)…うどん(または焼きもち、ゆでたまご
・夕…唐芋ご飯、煮しめ(干し大根、ニンジン、揚げ、こんにゃく、昆布、干しシイタケなど)、たくわん

そして、今回はその中より「そばずい」と「あわんなっと」をメインに献立を組み立ててみました。
もちろん、当時は「一汁一菜」が基本ですから、こんなに皿数は多くないと思いますが、当時の食材で今も手に入りやすいもので、「湯なます」「押し大豆の卵とじ」「大根の皮の酢の物」など作ってみました。
「そば」は脱穀して、粉にひき、そまげ、そば切り、そばずい(そばじゅい)などにします。そばの殻は枕に入れたものです。そばずい(そばじゅい)は、寒い日に体を温めてくれた日常食です。旬の野菜を具に、地域独自の「だし」を使用し、醤油味等で調味した汁に、うちたてのそばを下茹でせずに直接煮込むのが特徴です。少ないそば粉でも、多人数の食事に適し、冷めにくく、腹持ちがよいので重宝されました。
そして、「あわんなっと」は、義臣伝の輪読会のふるまいとして、よく登場します。12月14日は、赤穂浪士の討ち入りの日。明治の初めより、この日の晩に、地域の小学生から青年まで集まり、義臣伝の輪読会が行われるようになったそうです。夜7時より夜中まで行われる、そのあと「あわんなっと」がふるまわれたとのこと。素朴な風味ですが、黒糖のコクがよく合い、生姜を加えることで体が温まります。

丸野さん、スタッフの小山田さん、調理アシスタントしてくださった谷口さん、ご参加してくださった皆様、本当にありがとうございました!!

出水「学校給食等地元食材利用促進研修会」講演でした

出水で「学校給食等地元食材利用促進研修会」があり、講演をさせていただきました。
参加されていたのは、地域内の栄養教諭の皆さんJA関係の皆様。
現在の学校給食の地元産物の納入や利用法、課題等、参加者間で意見が出されていました。

その後の講演では、地元の食材や調理法・その料理への思いなど、また地元の食材を食す意味や、鹿児島の郷土料理・食文化の醍醐味など、自分の考えをお話させていただきました。
思いがけず、短大で教員をしていた時の学生が栄養教諭として参加しており、しっかり頑張っている様子を見れてうれしかったです。

かごしまグリーンツーリズムフォーラムin鹿屋市 講演でした

かごしまグリーンツーリズムフォーラムin鹿屋市が開催されました。
ありがたいことに、基調講演をさせていただき、分科会の講師もさせていただきました。
今回のテーマは講演会が「食で伝えよう!郷土の心と伝統」
分科会の方は「私が伝えたい 料理と言葉」です。

会場には、いつもかごしま郷土料理マイスターや子ども料理教室のアシスタントでおせわになっている川辺の東さんや、以前かごっまおごじょ委員会でご一緒だったいちき串木野市の木場さん、伊佐の田野田さん、曽於の外前田さんもいらしていました。

講演では、体験プログラムの組み立て方について、地域の中にある知恵や技を丁寧に見つめ、それをまずは自分たちが学び、体験プログラムに作り上げていくことなど、
そして郷土料理・食文化の力は、「ここにあるもので作ること」、それは無駄がなく無理がなく、ここで生きる知恵そのものであることなどをお話しました。

また、分科会は全体会の司会もされている柴さとみさんに助けていただきながら、30名以上の皆様とご一緒しました。
まずは「食歴ワークショップ」で、自分のこれまでの暮らしの中で大切な食を自己紹介としてグループ内で発表しあいました。
その後、そのグループで「わが町の(私の)、この一皿」を考えてもらいました。
その料理を用紙に大きく書いて、その周りに、それを、紹介するときの「自分の言葉」をいろいろ書いてもらいました。
開聞の川尻地区の「おろいのっけ」(おろし大根とサバの汁)など、初めて聞く料理もあり、大変面白い時間でした!

他の分科会は、かごしまツーリズムの上代さん、そして東川さんで、それぞれ充実した研修だったようです。
運営で、細かなご配慮いただきました東川さんご夫妻、鹿屋市の皆様、お世話になりました。ありがとうございました!

 

浜の市ふれあいセンター 親子郷土料理でした

霧島市の「浜の市ふれあいセンター」様のご依頼で、施設内の調理室で、親子郷土料理クッキングを行いました。
温泉センターですが、調理室と試食もできる広い和室もあるので、活用したいとのことでのお話を受けてのことです。

今回のメニューは「かるかん饅頭」「豚汁」「おにぎり」です。
小学生から中学生、その保護者様のご参加で、和やかに楽しく調理することができました。

まずは、かるかん饅頭作りです。
大和芋をすりおろしそこに水、砂糖、米粉(かるかん粉として販売されているものを使いました)を順に加えていきます。
まるでおもちのような粘りのある生地に、みなさんとても驚いていらっしゃいました。
かるかんの型に生地をいれ、その上にあんこを置き、爪楊枝で生地をそっとあんこの上に乗せるようにします。
これは、以前坂田金時堂の坂田和美さんに教えていただいたやり方で、ずっとこのようにしています。

蒸している間に、大根・人参・里芋なども野菜を切り豚汁を作っていきます。
その後、おにぎりを握って海苔で巻きます。
かるかんも蒸しあがり、おにぎり・豚汁とともにあたたかい出来立てを試食しました。
お持ち帰りのかるかん饅頭もできたので、それぞれのご家庭で、おいしいかるかんと共に、今日のことがお話されたらいいなと思います。



肝付町かごしまグリーンツーリズム協議会の研修会でした

肝付町でのかごしまグリーンツーリズム協議会の研修会にお呼びいただきお話をさせていただきました。東川さんありがとうございます!
ご参加いただいたのは、南大隅町肝付町グリーンツーリズム関係の皆様。
今回のテーマは「魅力的な体験プログラムの考えかた」。霧島食育研究会で実施している「霧島里山自然学校」(現在20年目、約420回実施)の、プログラムを作っていく上で、試行錯誤しながらも、大事にしている考え方や実際の様子をお話させていただきました。
その後、二班にわかれてワークショップ。中・高校生の受け入れ時を想定し、自分の周りにある、「有ること」の中で「体験させたいこと」と「食べものを作ること」をカードにどんどん書いていきます。その後、春・夏・秋・冬、それぞれの「体験」と「食べもの作り」に分類していきます。
本当にたくさんのアイデアが出ました。「体験」では、「棚田」「杉の葉ひろい」「しゅろで作るはえたたき」「鹿児島弁を「長渕剛の『きばいやんせ』でおしえる」など、「食べもの作り」では「たけのこ掘り」「かき氷つくり」「「つわとり」・・・などなど。
最後、参加者さんが「頭の中ではいろいろ考えていたけど、こうやって書きだしてみたら、こんなにたくさんあった、面白かった!」と、感想を発表してくださいました。

 

日本遺産「薩摩の武士が生きた町」シンポジウムでした

日本遺産「薩摩の武士が生きた町」シンポジウムが蒲生中央公民館で行われました。
蒲生の太鼓踊りがオープニング、その後、
東川隆太郎さんと、「日本遺産を地域で生かし未来に残す」をテーマに、主に食からみた麓のお話を、「トークショー」という形でさせていただきました。
中身は今年2月にお手伝いさせていただいた蒲生麓での「殿様の街歩き」の中の「殿様御膳」の推測のいきさつやその内容です。

また、私自身が幼いころ薩摩川内市宮内にある麓集落で暮らしていたことがあり、その中で幼心で感じた麓の暮らしについても、お話することができました。
「暮らし方がとても丁寧だったこと」「住んでいる人たちの言葉が丁寧だったこと」「子供の世界でも年長者が年少者をまとめていたこと」「地区内の安全を大切にしていたこと」など。
麓での暮らしがとても好きで、私の「ふるさともどき」が麓なので、そういうお話ができてとてもうれしく感じました。

東川さんが、話しやすくリードしてくださったので、本当にありがたかったです。
また、地元蒲生中学生の取組、また日本遺産の構成文化財になっている各麓の取組等いろいろなお話を聞くことができました。